あさりんの百式観音

SFCミニやらせてもらって欲しくなり地元で即買いした。何年ぶりかに元祖を出したら日焼けしていて月日の経過を感じる。経過しているのは月日だけで本人は老けながらも変わらずゲームに興じているのだ。大連鎖とかするとIKKOのようにはしゃぐのも変わっていない。

SFCミニのなかにはパネルでポンという思い出深いパズルゲームが入っている。小学生の頃めちゃめちゃ流行った。
あさりん(友達)とやるときが一番楽しかったが、あさりんはお家の都合で引っ越してしまった。思えばあれが初めてのお友達とのお別れだった。

あさりんはパネポンが上手くて頭の良い子だった。やたら操作が早く、カチャカチャというコントローラーの操作音をネテロみたいに置き去りにしていた。あまり勝てた記憶がない。
クラスは違ったし家もそう近くはなかったがあさりんとは放課後よく遊んでいた。その日もあさりんの百式観音“九十九の掌“で滅多打ちにされていると、「あたし香港に引っ越すんだ」と告げられた。

小学生にとっての外国とはそれこそ暗黒大陸である。全員銃を持っていて、子供は「あい」と喋り大人は球体のはずだ。むこうで学校に通うと言うが511キンダーハイムみたいなところだろう。そんなところにあさりんが…。
子供の私は「えー!」と叫んで、じゃあもう会えないんだね、と言った。
あさりんと出会えたこれまでの全てに感謝しながら転校するまでパネポンで遊んだが、手でハートの百式観音に結局負け越したまま終わった。

大学生になってまたSFCが流行って、「パネポンわりと出来る」と言う友達に挑まれ大人げないほど圧勝した。「絶対に倒したい」とライバル認定され何度も挑まれたので、二度とパネポンをやりたいと思わなくなるよう念入りに叩きのめした。人間の底知れぬ悪意である。
勝てるのはあさりんだけなのだ。H×H終わるまでにはもう一回対戦したいな。実家で全巻読んできた。